ウイルスによる大規模感染拡大、耐風や土砂災害、南海トラフ地震の懸念など日本では大きな災害が発生するリスクがあります。
企業運営において災害やリスク発生後の備えを準備することで、事業継続や取引先への信頼度に大きく繋がる時代です。
このようなことを踏まえ、社会全体で不測の事態に備えBCPの策定が義務化・推奨されています。
BCPの重要性や対策が必要な業種・業界についてご紹介します。
BCPとは？
BCPとは「Business Continuity Planning」の略語で、「事業継続計画」の意味があります。企業が大災害、感染症の大流行、サイバー攻撃、供給網の中断などの突発的な危機に直面したときに、事業の継続性を確保するための戦略的計画のことを指します。こうした緊急事態の発生を想定し、どの事業を継続させるのか、早期復旧のために何を行うべきかを事前に検討してまとめることがどの企業においても推奨されています。
BCP対策の重要性
BCP対策を実施していれば大規模災害や未曽有の事態に陥った際、企業のサービスや製品の提供ができなくなるリスクを減らすことができます。BCP対策を行った場合のメリットをご紹介します。
メリット①事業継続性の確保
災害や危機が発生した場合でも、企業のサービスや製品の提供ができなくなるリスクが減ります。
メリット②リスクを低減できる
事前に起こり得るリスクを把握し対処するための策を立てることで、危機が発生した場合の影響を低減することができます。
メリット③信用の維持・向上
BCP対策を行っている企業は顧客やビジネスパートナーに対し、リスク管理を真剣に取り組んでいるという信頼を生む要因となります。
メリット④補助金が活用できる場合がある
BCPの実践に必要な設備・物品の購入を支援する制度があり利用できる場合があります。
BCP対策が特に必要な業界や業種
これまでBCP策定は義務ではなく任意で委ねられていましたが、2024年4月より介護施設においてはBCP策定を義務化されました。BCPの策定・実施が特に重視されるのは、社会や経済の基盤を担う業界や、大きな影響を及ぼす可能性がある業界です。以下はそのような業界をご紹介します。
■介護業界
自然災害や感染症などが起こったとしても介護サービスの提供を続けるため、すべての介護事業者は2024年の4月までにBCP策定が義務化されました。
■金融業界
銀行、証券会社、保険会社などの金融機関は、金融システムの安定性を維持するため、BCPの策定・実施が強く求められます。金融庁からの指導や監督が行われることが一般的です。
金融庁は、業務継続の基本方針として以下を挙げています。
- 国民の金融資産の保全を図り、国民生活や民間の金融・経済活動が中断する事態をできるだけ避け、その早期回復に努める。
- 金融庁の業務継続体制の確保に向けて、職員の安 全を確保し、必要な執行体制を整備した上で、適切に 行政資源を配分する。
引用：https://www.fsa.go.jp/policy/bcp/
■電気通信事業者
事業が継続できない場合、社会に与える影響が非常に大きい存在となっています。通信障害や大規模災害時における通信の確保は、災害対応やビジネスの継続性に直結するため、電気通信事業者は総務省からBCP策定の指導を受ける場合があります。
■エネルギー業界
電力会社やガス会社などのエネルギー供給企業は、供給の継続性を確保するためのBCPの策定・実施が求められます。
■医療・医薬業界
医療機関や医薬品メーカーは、災害時でも医療の提供や必要な医薬品の供給が継続されるよう、BCPの策定が推奨されています。
■運輸業界
鉄道会社、航空会社、物流業者などは、交通・物流の継続性を確保するため、BCPの重要性が高いです。
■食品業界
食品の供給は生活基盤に関わるため、食品メーカーや小売業者は供給網の確保や危機管理に関するBCP策定の重要性が高いです。
■一般企業
上記に挙げた業種・業界のみならず、実は中小企業を含む一般の企業に対してもBCPの策定を推奨しています。大規模災害に見舞われた際、復旧が長引きそのまま倒産になってしまうリスクが考えられます。事業の継続を目指すため、義務ではありませんが中小企業にもBCP策定が求められています。
まとめ
大規模災害や危機的事態が発生した際、事業を継続させるためどの企業もBCPの策定が望ましく、今や多くの業界・業種でBCPの重要性が認識されています。
BCP対策をすることで、結果として経済的な損失を最小限に抑えることができます。
BCPをまだ導入していない場合、この機会に導入をご検討ください。
