BCP対策で見落としがちな“燃料の品質管理”とは?|非常用発電機を守るポイントと支援企業紹介

「非常用発電機は定期的に点検しているから大丈夫」――そう思っていませんか?
実は、BCP対策の盲点となりやすいのが燃料の品質管理です。
燃料は時間の経過とともに劣化し、発電機の始動不良や故障の原因にもなります。
本記事では、見落とされがちな燃料管理の重要性と、企業を支援する専門サービスを紹介します。

目次

災害時に“燃料があるのに動かない”企業が続出

近年、台風や地震などの自然災害が増える中、非常用発電機が起動しない事例が相次いでいます。
燃料を十分に備蓄していても、実際には発電機が作動せず、BCP(事業継続計画)が機能しないケースも少なくありません。

非常用発電機が動かない原因

災害時、ある病院では台風時に発電機が始動せず、生命維持装置に接続された患者の安全が脅かされました。またデータセンターでは、発電機の起動遅延により重要システムが停止し、多大な経済損失を被った例もあります。原因の多くは燃料の劣化や管理不足です。

東日本大震災の調査では、約4,800台の非常用発電機のうち230台が動作せず、また、原因の約30%はメンテナンス不良でした。備蓄燃料があっても、管理が不十分では“いざというときに動かない”というリスクがあるのです。

出典:総務省消防庁 https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/post21.html
引用:https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_betten05.pdf

燃料劣化が発電機トラブルを引き起こす

非常用発電機のトラブルにはさまざまな要因がありますが、特に多いのが燃料の劣化です。
燃料は「生もの」と同じで、時間の経過とともに性質が変化し、適切に管理されなければエンジンが始動しなくなることがあります。

長期保管で起きる劣化と、発電不能リスク

長期保管中に水分が混入するとスラッジ(沈殿物)が生じ、燃料フィルターを詰まらせる原因となります。また、温度や直射日光などの影響で劣化が早まったり、燃料が固まることもあります。
つまり、非常用発電機の燃料は
・時間の経過
・水分混入
・温度や光の影響

によって劣化することで、燃焼効率が下がり、発電量の低下や発電不能を引き起こすのです。

この燃料劣化による発電不能は、単に電力が止まるだけでなく、人命や医療、経済、社会インフラにも直結する重大リスクです。備蓄燃料があるからといって安心せず、燃料の品質が良いことを確保することがBCPでは非常に重要です。

BCPで求められる燃料備蓄と管理の基本

災害や停電時に事業を継続するためには、必要量の燃料を計画的に備蓄することが不可欠です。
しかし、備蓄しているだけでは十分ではありません。保管環境の整備や管理ルールの明確化により、緊急時でもすぐに使用できる状態を維持することが重要です。さらに、定期的な点検や消費期限の管理を組み込むことで、無駄な廃棄やトラブルを防ぐことができます。

“量”だけでなく“品質維持”がBCPを左右する

燃料は時間の経過とともに劣化し、十分な量があっても品質が低下していれば使用できないリスクがあります。専門管理による劣化防止策、例えば定期交換や添加剤の使用、温度管理などは、BCPの信頼性に直結します。

つまり、燃料備蓄においては「量」と「品質」の両立が不可欠であり、この両立こそが実際の緊急対応時に燃料を確実に利用できる鍵となります。

品質を保つには“定期点検と専門管理”がカギ

非常用発電機や関連設備は、いざというときに確実に稼働させるために、定期的な点検が不可欠です。
しかし、自社だけで管理を行う場合、専門知識や経験不足により劣化や故障の兆候を見落とすリスクがあります。さらに、点検スケジュールの策定や燃料・設備の劣化記録を継続的に管理するのは非常に手間がかかります。

業者に依頼して品質維持を仕組み化する

こうした課題を解決するのが、専門業者への委託です。
専門業者は豊富な知識と経験を持ち、故障や燃料劣化の兆候を見逃さず、計画的な定期点検やメンテナンスを実施できます。これにより、トラブルの未然防止や設備の長寿命化、ひいては長期的なコスト削減にもつながります。また、業者は記録管理や報告の仕組みも整備しているため、社内で管理する手間を大幅に軽減し、安心して品質を維持できる体制が構築できます。

燃料品質まで任せられる企業・サービス紹介

非常用発電機を確実に稼働させるには、「燃料を備蓄しておくこと」だけでなく、「品質を維持する仕組み」を整えることが不可欠です。近年では、燃料の保管・点検・入替・緊急配送までを一貫してサポートする企業が増えており、BCP対策の一部として導入する企業も少なくありません。ここでは、燃料品質まで任せられる代表的なサービスを紹介します。

三和エナジー株式会社

〈サービス紹介〉

  • 非常用発電機向けの緊急時燃料配送サービスや、燃料備蓄支援を展開
  • 特に「EESパック」は、災害時の燃料配給体制を確保するBCP支援サービス
  • 特許を取得した燃料のろ過装置「ロカクリーン」で、燃料の品質維持をサポート
  • 備蓄/品質/配給でサービスを展開しており、災害対応力を高められるのが特徴

日本BCP株式会社

〈サービス紹介〉

  • 企業のBCP体制構築を支援する専門企業
  • 非常用発電機の定期点検、負荷試験、燃料タンクの洗浄やろ過など、燃料品質を含めたサービスを提供
  • 災害時には緊急燃料配給ネットワークを通じて、優先的な配送も可能

関西電力株式会社

〈サービス紹介〉

  • 法人向けの「かんでん総合防災サービス」を通じ、非常用発電機や燃料の総合的な防災支 援を提供
  • 緊急時燃料配送サービスに加え、発電機の負荷試験、燃料のメンテナンスなどを実施
  • 平常時から設備の状態を点検・管理し、災害発生時には迅速な配給体制を確保

まとめ

燃料備蓄の「量」だけでなく、「品質維持」までを任せられる企業を選ぶことで、非常時でも発電機が確実に稼働し、事業継続の信頼性を大きく高めることができます。自社での管理が難しい場合は、こうした専門業者による“燃料品質管理の外部委託”をBCP計画に組み込むことが有効です。

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