近年、地震や津波、台風などの自然災害や気候変動による風水害の頻発が深刻な問題となっています。特にこれらの災害が引き起こす交通インフラの規制や寸断は、物流業界にとって大きなリスクとなり得ます。こうした予期せぬ事態が発生した際、リスクを最小限に抑えるためにもBCPは重要なツールとなります。そのため、企業にとってリスク対策は喫緊の課題となっています。
物流業界におけるBCPの必要性
BCPとは事前に非常時への対策・代替手段などを取り決めておく計画のことを指します。
自然災害や風水害などの緊急事態の発生を想定し、損害を最小限に抑え、迅速な事業の復旧を可能とするために、事前に検討しておく必要があります。
物流業界は多岐にわたるリスクにさらされています。例えば、交通機関の遅延や中断、倉庫や施設の故障など、自然災害や技術的な問題が発生することで物流プロセスに混乱を引き起こす可能性があります。これらのリスクに対処するためには、事前に綿密な計画と対応策を用意しておくと安心です。
物流BCPのポイント
BCPの策定において、明確な目的設定が欠かせません。物流業界におけるBCP対策の目的は、従業員の安全確保と物流機能の維持にあります。さらに、事業継続のためには、迅速な通常運用への復旧が不可欠です。また、荷主と物流事業者が災害時の対応について共有し、共通の理解を持つことが、円滑な対応とリスク軽減につながります。
主なBCP策定の流れ
- 現在の体制を把握する
- 復旧状態や時間を明確化する
- 想定されるリスクを抽出する
- BCPを策定する
- 荷主と物流事業者間で情報を共有する
荷主が求めるBCPのポイント
荷主がBCP策定に対して求める項目として「輸送中の車両の位置情報の共有」と「道路等の交通インフラの情報収集」などが多く挙げられています。
このことから、特に非常時の荷物の輸送について懸念を抱いていることが考えられます。
災害時には交通インフラが規制されるため、代替輸送手段やルートの確保が不可欠です。そのため、非常時の輸送手段や連絡体制について事前に策定しておくことが重要です。また、平時からハザードマップを確認しておくことも重要です。
運送会社が考慮すべきポイント
運送会社にとっては、まず従業員の安全確保が最優先事項となります。特に自然災害時は安全確保が困難となることが予測されます。国土交通省の「異常気象時下における輸送の目安設定」を参考に、自然災害時の対応を検討することが重要です。
また、多くの物流事業者は「燃料確保」「荷主との連絡手段の確保」「非常用発電・通信装置の設置」など事業運用に関する項目に重点を置いています。
事業継続のためには、リスクを最小限に抑え迅速な通常運用への復旧が必要となります。
まとめ
物流業界におけるBCP対策は、荷主が求める代替輸送手段・ルートの確保、そして従業員の安全確保が不可欠です。荷主と物流事業者が事前に非常時の対応について協議し、共通の認識を持つことが大切となってきます。策定した内容は双方で共有し、非常時に迅速な行動ができるよう、教育や訓練を行っておくと良いでしょう。